今回は「行政書士試験の得点戦略」について、改めてお話ししようと思います。

「お前その話、何回目やねん」と思われるかもしれません。でもね、どうしても伝えたいんです。初学者の方がこの話を知らないまま勉強を始めてしまうと、いくら時間をかけても結果が出ない。そんな現実が、行政書士試験にはあるからです。

私自身もかつてはそうでした。とにかく過去問を繰り返せば合格できると思い込み、効率の悪い勉強を続けてしまった……。でも、あるとき「得点戦略」の重要性に気づいて勉強方法を根本から変えたことで、一気に道が開けたのです。

この記事では、私の実体験をもとに、行政書士試験を突破するために欠かせない得点戦略を解説します。これから試験に挑む皆さんのヒントになれば幸いです。


「暗記だけでは絶対に通用しない」試験、それが行政書士

行政書士試験の最大の特徴、それは“過去問の暗記だけでは合格できない”という点です。

他の国家試験、たとえば宅建や管理業務主任者などは、過去問を繰り返せば得点力がついてくるものが多いです。でも行政書士試験は違います。

行政書士の業務そのものが、応用力や判断力を求められる性質を持っているため、問題も「ひねり」が効いていたり、「思考力」が必要だったりする。単なる暗記では歯が立たないんです。

このことに早く気づけるかどうかで、学習の方向性が大きく変わります。


合格ラインは180点。でも合格率はたったの10%。

行政書士試験の合格基準は、300点満点中の180点。つまり6割得点できればOK。……と、数字だけを見ると「それならなんとかいけそう」と思えるかもしれません。

でも、合格率は10%前後と非常に低い。

これが何を意味するか。
そう、「簡単な問題はみんな解ける」「でも難問やクセのある問題にどう対処するかで明暗が分かれる」ということなんです。

だからこそ、得点戦略が必要なんです。どこで点を取って、どこは捨てるか。最初から満点を狙って全てを完璧に勉強しようとするのは、実は最も非効率なやり方なんです。


科目ごとの「狙いどころ」と「捨てどころ」

憲法:5問中3問取れたら上出来

憲法は比較的点を取りやすい科目ですが、年によって難問が出ることもあり、序盤で心が折れる受験生も少なくありません。ここは「3問取れればOK」という割り切りが大事です。

行政法:19問中17問を狙え

行政書士試験の“本丸”です。ここでしっかり点を稼がないと合格は見えてきません。

私自身、行政法だけは「満点を取る気でやる」くらいの意気込みで取り組みました。地方自治法は範囲が広くてとっつきにくく見えますが、柱を立てるように勉強すれば得点源になります。

民法:9問中6問取れれば十分

民法もボリュームがある科目で、記述にも関わってきますが、深追いは禁物です。司法試験レベルの勉強に手を出してしまうと、時間がいくらあっても足りません。

商法・会社法:1問〜2問を狙う

商法は範囲が狭く得点しやすいので1問は取りたいところ。ただし、最近はひねった問題も増えているので“絶対”とまではいきません。

会社法は範囲が民法並みに広く、コスパが悪いです。私も最低限の理解で臨みましたが、意外と正答できた年もありました。

ポイントは、五択のうち「これは絶対違う」と思えるものを削っていく“消去法”。これだけで正答率が格段に上がります。


記述式問題と多肢選択:期待しすぎは禁物

記述は配点が大きく(3問で60点)一見重要そうですが、実際は得点調整に使われることもあるため、思ったより点が伸びない年もあります。

私は「1問確実に書ける」レベルを目指し、あとは“棚ぼた”を狙うスタイルにしていました。

多肢選択も同様です。形式に慣れていないと失点しがちですが、国語力で対応できる部分も多いので、法令科目をしっかり学んでいれば自然と解けてくる問題もあります。


一般知識:侮るなかれ!合否を左右する最後の砦

そして最後に来るのが「一般知識」。たった14問なのに、足切り(40%未満で即不合格)があるため、非常に重要です。

私はここを“最重要科目の一つ”と認識して、しっかり対策しました。特に文章理解(いわゆる現代文)は、国語力があれば確実に点が取れるので、ここで3問満点を取るつもりで勉強しました。

他の時事問題などは、過去問や予想問題を活用して、6〜8問取れるようにしておけば足切りは回避できます。


まとめ:大切なのは「戦略的に」学ぶこと

行政書士試験は、「賢く戦う試験」です。
全教科を満遍なく完璧にする必要はありません。むしろ、それは時間と労力のムダ遣いです。

・行政法でがっつり稼ぐ
・民法と憲法は割り切る
・商法・会社法は最低限
・記述と多肢選択は欲張らない
・一般知識は足切り回避&得点源にする

こうした“割り切り”と“戦略”こそが、900時間の学習を最短距離で合格へと導いてくれます。

もし、あなたが今、無計画に勉強を進めているなら、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。

合格に必要なのは、「努力」だけではなく「戦略」なのです。