行政書士試験を受験して思ったことのひとつに、「記述式の重みって想像以上だった」という実感があります。択一式の勉強に集中しがちな私たち受験生にとって、記述式問題はどこか後回しにされがち。でも、実は合否を左右するキーポイントになるのがこの記述式なのです。私は最初、記述式を甘く見ていて、苦い思いもしました。だからこそ、これから試験に挑もうとしている方には、記述式の重要性をしっかり伝えたい。この記事では、記述式の概要から、出題傾向、対策法、そして私が実際にどう対策したかを含め、5000字を超えて徹底的に解説していきます。


記述式ってそもそも何?基本を押さえよう

行政書士試験の記述式問題は、全体のなかで300点満点中の60点分、つまり約20%を占めています。配点だけ見ればそこまで高くないと感じるかもしれませんが、実はこの60点が大きな意味を持つのです。

まず、記述式は以下のような形式で出題されます:

  • 問題数:3問(民法2問、行政法1問)
  • 各問:20点×3=60点
  • 回答方式:40~50字程度の文章記述(手書き)

これらの問題では、事例を読んで適切な法的構成と結論を記述する力が求められます。ただ暗記すればいいわけではなく、「どの条文に基づいて、どんな解釈をし、結論を導くか」というロジカルな思考力が試されるのです。


記述式が怖い本当の理由:部分点の存在

私が本当に記述式を怖いと感じた理由、それは「得点が見えにくい」からです。マークシートなら、正解か不正解かがハッキリしています。でも、記述式は違う。たとえば50字で完璧な答案を書ければ満点ですが、30字程度でも論点を突いていれば部分点がもらえる可能性がある。

その一方で、まったく論点が外れていたり、ただキーワードを羅列しただけでは、0点というケースもあります。実際、私はある年、自己採点で「記述式3問中2問はまあまあ書けた」と思っていたのに、予備校の採点では「これは10点、これは2点」とばっさり切られた経験があります。

つまり記述式は、「部分点をいかに積み上げるか」が合否に大きく関わる、非常にシビアなゾーンなのです。


合格ラインとの関係:記述式が運命を分ける

行政書士試験の合格基準は、以下の通りです:

  • 総得点300点中、180点以上(60%)
  • 法令等科目で244点中122点以上(50%)
  • 一般知識で56点中24点以上(40%)

ここで注目すべきは、択一式だけで180点を取るのはなかなか難しいという点。特に一般知識で足切り(24点未満)になる人も多く、記述式で20点以上取れていたら…という声もよく聞きます。

実際、私が受験した年、択一の合計が174点でした。記述式で満点に近い点数を取れていたおかげで、なんとか合格ラインに滑り込めたというわけです。つまり、記述式で挽回できる人こそが、最終的に合格を手にするケースは少なくありません。


出題傾向を把握する:民法と行政法のポイント

記述式の勉強をする上で、出題傾向を把握することは極めて重要です。

民法(2問)

民法では、特に以下のテーマが頻出です:

  • 代理(無権代理、表見代理など)
  • 契約(解除、錯誤、履行遅滞など)
  • 債権(同時履行の抗弁権、相殺)
  • 不法行為と損害賠償

これらは、「典型事例」と呼ばれるものが多く、過去問や演習を通して繰り返し学習することで対応可能です。

行政法(1問)

行政法の記述では、以下のテーマが出やすいです:

  • 行政行為(取消し、無効など)
  • 不服申立て(審査請求、再調査の請求)
  • 行政手続法や行政事件訴訟法

特に行政法は条文ベースで出題されやすいので、「法的な表現を正確に使えるか」が問われます。


私の勉強法:記述式対策はこうやった

私が記述式の対策として行ったことは、以下の3つです。

1. 予備校の記述問題集を繰り返す

まず使ったのは、LECやTACなど大手予備校の記述式問題集。最初は全然書けませんでしたが、問題ごとに「どのキーワードが必要か」「どんな構成が評価されるか」を意識して、ひとつずつ潰していきました。

2. ひたすら写経と要約

問題の模範解答を、ただ写すのではなく、自分の言葉で言い換えて書き直す練習もしました。50字に収めるには、無駄な表現を削る力も必要です。慣れてくると、文章の“型”が頭に入ってきます。

3. 答案添削を活用

自分では「よく書けた」と思っても、他人の目から見るとズレていることもあります。私は答練や模試の添削を積極的に受け、何が良くて何がダメなのか、フィードバックをもらいました。これが一番伸びました。


よくある失敗パターンと対策

私自身や周囲の受験仲間が陥った失敗パターンも、いくつかご紹介しておきます。

キーワードを入れすぎて要点がぼやける

「とにかくたくさん法的用語を詰め込めば良い」と思ってしまいがちですが、字数制限の中では逆効果。採点者が読みやすい、筋の通った答案こそ高評価です。

事例に対して抽象的な結論しか書けない

設問の中には、「Aの行為はBに対して不法行為となるか」という具体的なものが多く、それに対して「一般的には〜」と書いてしまうと減点されがちです。具体的事案に即した結論が重要。


まとめ:記述式は「チャンス」である

行政書士試験の記述式問題は、確かに難しいし、対策には時間がかかります。でも、それだけに「ここで差がつく」部分です。

記述式が苦手な人は多い。だからこそ、ここを攻略できれば合格がぐっと近づく。私は実際、択一で点が足りなかった分を記述式でカバーして合格しました。これは紛れもない事実です。

今、記述対策に不安を感じている方がいたら、ぜひ声を大にして言いたい。

記述式は、あなたを救ってくれる可能性のある“ラストチャンス”です。

早めに対策を始め、少しずつでも「型」と「思考の流れ」を掴めば、必ず書けるようになります。そしてその先には、晴れて行政書士としてのスタートラインが待っています。

さあ、一緒に記述式を味方にして、合格を勝ち取りましょう!