こんにちは、行政書士の貞夫です。
「行政書士です」と自己紹介すると、「あ、それって法律関係の人?」とか「司法書士とどう違うの?」なんて聞かれること、よくあります。
正直なところ、行政書士という職業は、まだまだ世間では知られていないんだなというのを日々感じています。
でも実は、行政書士は日常生活やビジネスの中でとても重要な役割を果たしているんです。
この記事では、私自身の経験や具体例を交えながら、「行政書士ってどんな仕事をしているの?」という疑問に答えていきたいと思います。
専門用語はできるだけ使わず、分かりやすい言葉でお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
Contents
行政書士って何をする人?
まず、行政書士の仕事を一言で言うと、「法律に関する書類を作って、役所などに提出するプロ」です。
もう少し詳しく言うと、行政書士は「報酬を得て、法律に基づく書類を作成すること」が法律上の業務とされています。
これは「独占業務」といって、行政書士の資格がなければできないと定められているんです(行政書士法 第1条の2、第1条の3などに明記されています)。
行政書士が扱う書類は、大きく3つのカテゴリに分かれています。
1. 官公署に提出する書類の作成
たとえば、以下のような書類があります:
- 建設業許可申請書
- 飲食店営業許可申請書
- 風俗営業許可申請書
- 産業廃棄物収集運搬業の許可申請
- 外国人の在留資格変更・更新申請(入管業務)
これらはすべて、官公署(役所)に提出するためのものです。
私の実際の仕事でも、建設業を始めたいという方から相談を受けることがあります。
「書類が多すぎてわけが分からない」「どこに出せばいいの?」と悩む方がほとんど。
そのようなお客様の代わりに、必要な情報を整理し、正確な書類を作成し、スムーズに申請が通るようサポートするのが私たち行政書士の役割です。
2. 権利義務に関する書類の作成
これは、個人間や法人間の「権利の発生・変更・消滅」に関する書類です。
具体的には:
- 遺産分割協議書
- 遺言書作成サポート
- 内容証明郵便の作成
- 各種契約書(売買契約、業務委託契約など)
以前、ある高齢のご夫婦から遺言書作成のご相談を受けたことがあります。
「子どもたちに迷惑をかけたくないから、元気なうちにしっかり準備しておきたい」との思いからのご依頼でした。
行政書士は遺言書を「公正証書」にする場合、証人として立ち会うこともあります。
感情的にもデリケートな問題だからこそ、丁寧なヒアリングと配慮が必要になります。
3. 事実証明に関する書類の作成
このカテゴリは、「何があったのか」「どんな状態か」を文書で証明する書類です。
例えば:
- 会社の定款作成・変更
- 議事録の作成
- 交通事故の調査報告書
- 在職証明書、財産目録など
法人の設立時には「定款」というルールブックのようなものが必要になります。
この定款を正しく作成し、法務局での登記につなげるまでをサポートするのも行政書士の大切な業務です。
「持続化給付金」と行政書士
コロナ禍の2020年ごろ、持続化給付金や家賃支援給付金など、国の補助金制度がいくつも打ち出されました。
その中で問題になったのが、「無資格者による申請代行」です。
一部の悪質な業者が、「コンサルティング」と称して高額な報酬を取り、場合によっては虚偽の申請を代行するというトラブルが多発しました。
ここで押さえておきたいのが、持続化給付金の申請書類も「官公署に提出する書類」に該当するため、行政書士の独占業務なんです。
つまり、行政書士の資格がない人が他人のために申請書を作って報酬を得るのは違法なんですね。
もちろん、申請者本人が自分で手続きするのは問題ありません。
私はこの時期、給付金の申請をめぐるトラブルが多発するニュースを見て、「行政書士としてもっとできることがあるはずだ」と強く感じました。
正しく手続きをすること、困っている人を正しい道に導くこと。
それが、私たちに課せられた社会的責任なんだと実感した出来事でした。
他の士業との違い(業際)
行政書士がどんな仕事をしているのかをより深く理解するために、他の「士業」との違いも押さえておきましょう。
たとえば、以下のようにそれぞれの士業には主なフィールドがあります:
- 弁護士:裁判所関連(訴訟、紛争の代理など)
- 司法書士:登記(法務局への不動産・会社登記など)
- 税理士:税務申告、税務署への提出書類
- 社会保険労務士:労働・社会保険関係(年金事務所、労働基準監督署など)
一方、行政書士はこれらのフィールド以外を広くカバーしています。
つまり、「役所に提出する書類全般」が守備範囲。
その分、扱う業務が幅広くて、「ゼネラリスト型」の行政書士もいれば、「ビザ専門」「建設業専門」などの「スペシャリスト型」の行政書士もいます。
私はこれまで会社設立のサポートを何件も行ってきました。
ただし、会社を設立する際の「登記」業務は司法書士の独占業務なので、最後のステップでは司法書士にバトンを渡します。
このように、士業同士で連携しながら、お客様の課題解決にあたる場面も多いんです。
おもしろい実例:酒類販売免許
ここで、少しマニアックで面白い話をひとつ。
たとえば「お酒を売りたい!」と思ったとき、酒類販売業免許が必要になります。
この申請先は「税務署」なんです。
じゃあ、「税務署に出す書類だから税理士の仕事じゃないの?」と思われがちなんですが、実は違うんです。
税理士法には「税務申告書などの作成」は税理士の独占業務とされていますが、酒類販売免許のような「申請書類」の作成は含まれていません。
だから行政書士がこれを扱うことができるんです。
例えるなら、「野球場でサッカーをしていいですか?」と聞かれて、「野球の試合が入ってないならOKだよ」っていう感じですね。
このように、「誰が何をやっていいのか」という業際問題はとても奥深く、行政書士は柔軟に動ける士業でもあるんです。
まとめ
いかがでしたか?
行政書士という職業は、まだまだ認知度は高くないかもしれません。
でも、実は私たちの生活やビジネスの根幹を支える「縁の下の力持ち」として、日々たくさんの人をサポートしているんです。
役所への申請手続き、契約書の作成、会社設立、外国人のビザ取得サポート、遺言書の作成…
そのどれもが、人の人生や仕事にとって大切なことばかり。
「どこに相談したらいいのか分からない」と迷ったとき、まず行政書士に声をかけてみてください。
きっと、あなたの悩みに寄り添えるアドバイスができると思います。
この記事が、少しでも行政書士という職業に興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。