こんにちは、行政書士の貞夫です。

今回は「行政書士と司法書士の違い」について、実体験や学んだことを交えながらお話ししたいと思います。

実は私自身、行政書士の勉強を始めたばかりの頃、この二つの士業の違いがよくわかっていませんでした。

どちらも「書類作成のプロ」なんて言われても、どんな書類を扱うのか、どんな仕事をしているのかが見えてこなかったんです。

でも、勉強を進めるうちに、「これは最初にちゃんと知っておくべきだった…!」と強く感じたので、今回はそれをわかりやすくシェアしたいと思います。

行政書士を目指している方はもちろん、士業に興味がある方や、どちらの資格を取ろうか迷っている方の参考になれば嬉しいです。


行政書士と司法書士、どっちがどんな仕事をするの?

まず、行政書士も司法書士も、共通点として「書類作成を専門にしている」というところがあります。

ただし、その「書類の種類」がまったく違うんです。

たとえば、司法書士の仕事は「登記」がメイン。

登記とは、会社や不動産などに関する情報を法務局に登録する手続きのことです。

会社を作るときや、土地や建物を売買するときなどには、この登記が必ず必要になります。

司法書士は、その登記に関する書類を作成し、手続きを代行するプロなんです。

一方、行政書士の仕事は、役所に提出する「許認可申請の書類」を作成すること。

たとえば、飲食店を始めるには保健所の許可が必要ですし、建設業を始めるには建設業許可が必要です。

そうした「ビジネスに必要な許可」を取るための書類作成や、申請の手続きが行政書士の主な仕事です。

つまり、ざっくり言うと──

  • 司法書士は、法務局に提出する「登記系の書類」を扱う専門家
  • 行政書士は、官公庁(役所)に提出する「許認可系の書類」を扱う専門家

というイメージです。


実際の事例で違いを見てみよう

これは、私が行政書士の勉強会で聞いた話ですが、とても分かりやすかったので紹介します。

あるA子さんが、会社を立ち上げたいと考えました。

まず必要なのは「会社設立の登記」です。

この登記手続きを担当するのが、司法書士です。

司法書士は、定款(会社の基本ルールを定めた書類)や登記申請書などを作成し、法務局に提出します。

ただし、「定款を作る」だけなら行政書士でもできます。

行政書士が定款を作成し、その後、司法書士にバトンタッチして登記を行う…という流れになることが多いです。

このように、ひとつの会社設立の流れの中でも、行政書士と司法書士の仕事ははっきり分かれています。

行政書士が登記の代行までやってしまうと、それは司法書士の「独占業務」に当たり、違法行為になってしまうんです。

これは、本当に注意が必要なポイントです。


さらに進んだ事例:融資や営業許可の話

会社を設立した後、A子さんは事業資金を得るために銀行から融資を受けようとしました。

銀行はお金を貸す代わりに、担保を取ります。

その担保が「土地や建物」だった場合、それに「抵当権」を設定する必要が出てきます。

この抵当権設定にも「登記」が必要になるので、ここも司法書士の出番です。

一方で、A子さんのビジネスが例えば「飲食店」や「建設業」だったとしたら、それぞれの営業に必要な「許可」を取る必要があります。

その際に登場するのが行政書士。

行政書士は、役所に提出する申請書の作成から提出、さらには役所とのやり取りまで代行してくれます。

正直、自分でやろうとすると、何度も役所に行ったり、必要書類を調べたりとかなり大変。

私も以前、個人で簡単な許可申請をしようとして、何度も役所に行っては書類の不備を指摘され、心が折れかけた経験があります…。

そのとき、「ああ、これが行政書士の仕事なんだ」と痛感しました。


その他の業務にも違いがある

司法書士は、登記以外にも家庭裁判所の簡単な手続きの代理をすることができます(一定の条件を満たした場合)。

たとえば、相続放棄や成年後見人の申し立てなどがそれに当たります。

対して行政書士は、契約書や内容証明郵便、遺言書の作成など、「権利義務や事実証明に関する書類の作成」ができます。

これは弁護士とかなり近い業務なんですが、「代理」はできません。

つまり、交渉や裁判などの「争い」に関わることは行政書士にはできないという制限があります。

そして最大の注意点は「弁護士法第72条」。

この条文に違反すると「非弁行為」と言われてしまい、大きなトラブルになります。

行政書士は「相談業務」はできますが、弁護士のように紛争性のある事件を扱うことはできないんです。


登録者数の違いもポイント

実は、行政書士と司法書士では、登録者数にも大きな違いがあります。

行政書士は全国で約4万7,000人。

司法書士は約2万2,000人。

この数字からもわかるように、行政書士の方が数は多く、身近な存在ともいえます。

ただし、人数が多いぶん、競争も激しいという現実があります。

私も行政書士を目指す中で、「どうやって他の人と差別化していくか」が大きな課題だと感じています。


まとめ

今回は「行政書士と司法書士の違い」について、事例や体験談を交えてご紹介しました。

まとめると…

  • 司法書士は「登記の専門家」。主に法務局に提出する書類を扱う
  • 行政書士は「許認可の専門家」。主に役所に提出する書類を扱う
  • それぞれ独占業務があるので、越境してはいけない
  • 行政書士は業務範囲が広く、司法書士は専門性が高い
  • 登録人数や求められるスキルにも違いがある

行政書士と司法書士、どちらも「法律を使って人の役に立つ仕事」ではありますが、その役立ち方が違います。

どちらを目指すにしても、「自分がどんな仕事をしたいのか」を明確にしておくことが大切です。

もし行政書士に興味がある方がいたら、私もまだ勉強中の身ではありますが、一緒に頑張っていきましょう!