こんにちは。
私は行政書士として数年間、さまざまなクライアントの許認可申請や在留資格手続きなどをサポートしてきました。
「街の法律家」として、人の役に立てる実感のある仕事。
それに誇りを感じていました。
でも、ある日ふと立ち止まったんです。
「このままで、本当にいいのかな?」と。
きっかけは、ある顧客の創業支援の相談でした。
会社設立や営業許可は問題なく処理できた。
でも、事業計画や資金繰りの話になると、自分のアドバイスに自信が持てなかった。
そのとき、自分の中で火がつきました。
「もっと経営に踏み込んだ支援ができるようになりたい」と。
そしてたどり着いたのが、「中小企業診断士」という選択肢でした。
Contents
行政書士と中小企業診断士、それぞれの特徴と役割
まずはそれぞれの資格が何をするものか、整理しておきたいと思います。
行政書士の仕事
行政書士の主な仕事は、官公署に提出する書類の作成と手続きの代行です。
会社設立、建設業許可、飲食業の営業許可、外国人の在留資格など、業務は本当に多岐にわたります。
特に起業時や新規事業を始めるときには、法的手続きのサポートが欠かせません。
中小企業診断士の仕事
一方で、中小企業診断士は「企業の経営ドクター」とも言われる存在です。
経営戦略や財務分析、マーケティング、組織改革、補助金の申請支援など、まさに経営の全体像を見ながら支援します。
経営者の右腕のような存在ですね。
行政書士×中小企業診断士で実現できる「シナジー効果」
では、これら2つの資格を持つことで、どんな相乗効果があるのでしょうか。
私が実際に関わって感じたのは、以下の3つの分野で大きな力を発揮できるということです。
1. 創業支援をトータルでサポート
たとえば、「カフェを開きたい」という相談を受けたとき。
行政書士としては、会社設立や営業許可の手続きをサポートできます。
でもそれだけでは足りません。
どこに出店するのが良いのか。
どのようなコンセプトで展開すべきか。
資金繰りはどうするのか。
こうした経営面の相談に乗れるのが診断士の力です。
手続きだけでなく、事業の成功まで見据えたサポートができる。
これは本当に大きな違いでした。
2. 事業承継支援で信頼される専門家に
いま、事業承継の相談がとても増えています。
特に地方では、後継者がいないという悩みを抱えた経営者が多くいます。
行政書士としては、遺言書や契約書の作成、相続関連の手続きができます。
でも、それだけでは継承はスムーズにいきません。
診断士として、企業価値の把握、事業の見直し、後継者育成のアドバイスまでできるようになると、クライアントの信頼度が一気に上がります。
私自身も、事業承継の案件に両面から関われるようになって、「あの先生に任せてよかった」と言われたときは本当に嬉しかったです。
3. 補助金申請支援で差別化できる
補助金の申請では、書類の正確さだけでなく、「事業の中身」が重要になります。
とくに「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」などでは、審査に通るだけのしっかりした計画書が必要です。
行政書士の文章力と、中小企業診断士の経営分析力を組み合わせることで、補助金採択率が格段に上がります。
私は診断士資格を取ってから、補助金関連の依頼が2倍以上に増えました。
行政書士が中小企業診断士試験で有利になる理由
中小企業診断士の試験は、一次試験(7科目)と二次試験に分かれています。
確かに簡単ではありません。
でも、行政書士であることは、いくつかの面で有利に働くと私は感じました。
1. 経営法務は“得意分野”
診断士の一次試験には「経営法務」という科目があります。
ここでは会社法や知的財産権が問われるのですが、行政書士試験でしっかり勉強してきた方なら「貯金科目」になります。
私はここで満点近くを取ることができ、他の科目の不安を補うことができました。
2. ITや個人情報に慣れている
行政書士試験の一般知識では、情報セキュリティや個人情報保護法が出題されます。
この知識が、「経営情報システム」の対策に役立ちました。
ITが苦手な人が多い中で、ある程度アレルギーがないだけでも有利です。
3. 経済学の基礎がある
行政書士試験では、一般常識として経済に関する知識も問われます。
ニュースや新聞に日頃から関心を持っている人なら、診断士の「経済学・経済政策」もスムーズに入っていけるはずです。
4. 勉強の型ができている
一度でも難関資格を乗り越えた経験があると、勉強方法に迷いがありません。
私は行政書士試験のときに身につけた「スケジューリング」「インプット→アウトプット」「モチベーション管理」が診断士の勉強でもそのまま活きました。
精神的にも「もう一度チャレンジできる」と思えたのは大きかったです。
私が診断士を目指した理由──未来に備えるために
行政書士として順調に仕事をしている最中でしたが、「このままでずっとやっていけるだろうか」という漠然とした不安がありました。
AIや自動化が進む中、書類作成だけでは立ち行かなくなる時代が来るかもしれない。
だからこそ、自分の強みを増やしたいと思ったんです。
「経営の視点でクライアントに寄り添える専門家になりたい」と。
そしてもう一つ。
私は将来、地方や海外でも仕事ができる「独立したプロフェッショナル」を目指しています。
どこにいても、どんな状況でも、経営者の支えになれるスキルを持ちたかった。
その答えが「中小企業診断士」でした。
まとめ:資格はゴールではなく、スタートライン
行政書士として今の仕事にやりがいを感じている人も、少し将来に不安を感じている人も。
中小企業診断士という新たな資格は、確実にあなたのキャリアを広げてくれる選択肢になります。
こんな方には特におすすめです。
- 将来独立を考えている方
- 創業支援や補助金申請をトータルでサポートしたい方
- 「書類屋さん」ではなく「経営者の右腕」になりたい方
資格はゴールではありません。
むしろ、そこからが本当のスタートです。
もしも今、同じように迷っている方がいたら。
私は心からこう言いたいです。
「その一歩が、あなたの未来を変えるかもしれない」と。